症状で探す漢方医学
お悩みの症状別に漢方を使った治療法をご紹介します
現代では、老若男女問わず腰痛や関節痛、肩の痛みやしびれを患う方が多くなっております。各種の痛み・しびれは、腹筋、背筋、僧帽筋などの筋肉の衰えやコリからきています。
また、関節の炎症や神経の障害も一つの要因となります。慢性的な痛みやしびれは、すべての動作がスムーズでなくなってしまい、私生活に影響を与えることが殆どです。このような症例では「筋肉や関節に栄養を与える」、「余分な水を体外に出す」、「身体を温める」等の漢方薬が適しています。
漢方では、胃腸は部位ではなく消化・吸収全体の働きと考えられており、健康を守る上で重要な役割を持ちます。胃や腸に不調を持つ方は、生まれつき胃腸が弱い人、加齢に伴い胃腸の働きが弱くなっている人、ストレスで胃腸の働きが低下している場合など、様々な原因を持っています。
食生活を改めることや、運動習慣を見直す必要もありますが、多くの場合、各々の症状にあてはめ「胃腸を温める」、「熱や炎症を取る」、「気の滞りを改善する」等の漢方薬を選択します。
生理の悩みは、鎮痛剤による対処療法では十分に改善されないことがあります。漢方医学の考え方では、月経痛や生理不順は、主に血液の循環の異常で起こると考えられます。血液が滞っている状態を「瘀血(おけつ)」、血液が不足した状態を「血虚(けっきょ)」と呼び、それを解消する漢方薬を用い、血の異常を治していきます。
こうした状態を改善することで生理痛や生理不順といった症状を治療します。器質性の場合は、原因になっている病気の治療と並行し、漢方治療をしていくこともあります。
泌尿器症状として頻尿・失禁・膀胱炎・尿路結石などがあげられます。これらと密接に関係しているのは、五臓の「腎(じん)」であり、排尿・排泄、水分代謝、ホルモンバランスなどの働きを表します。腎の機能が衰える「腎虚(じんきょ)」になると、その症状の一つとして尿トラブルが起こる可能性があります。
また、根底には「冷え」が考えられると同時に、「瘀血(おけつ)」も同様に関連することもあります。漢方の治療では、こうした腎虚、瘀血、冷えなどの原因を探り、漢方薬を選薬します。
シミ・肌荒れ・ニキビといった症状は、外側からの原因と内側からの原因があります。外部原因は、紫外線や乾燥など。内部からの原因は、胃腸のトラブル、ホルモンバランスの乱れ、ストレスなどがあげられます。
特に、内部からの原因は漢方治療を適用できます。肌症状の原因を総合的に考え、胃腸「脾(ひ)」の働きが落ちている場合には「脾(ひ)」を補う漢方を使います。
また、「瘀血(おけつ)」は、ホルモンバランスやストレスにも関係しており、この血流が滞っている状態を改善することで肌を整えます。
『皮膚は内臓の鏡』と言われています。そのため、皮膚病の原因は内臓の機能が低下することや、内臓が元々弱いなどの体質によって決まります。そのため、漢方薬を利用し内臓の機能を強くし、体質の調整により皮膚を強くしていきます。
例えば、アトピー性皮膚炎を罹患している方は、内臓機能の低下や、体質の異常(免疫が過剰反応してしまうなど)があるとわかります。このような治療では、慢性的な症状を改善するために、内臓を補う漢方薬や、体質そのものから変えていき免疫反応を抑える必要があります。
疲れや体力低下の原因は、「睡眠不足」「ストレス」「栄養不足」などが挙げられます。睡眠不足や、肉体的、精神的ストレスに侵されると、疲れを大幅に感じます。また、偏食は、疲れを回復する栄養素を十分に得られないため、疲れを慢性化させる原因になります。
漢方に置き換えると、「気」のアンバランスが原因の疲労では、そのバランスを整えることや、補うことが大切です。また、栄養を運ぶ「血」を補う漢方も用います。こうした治療を行うことで、体の環境を整え、元気な体を取り戻すことができます。
むくみは浮腫といわれ、体内の水分が皮下や組織の隙間に溜まっている状態です。原因としては水分代謝に直接かかわる、主に三つの要因があります。「脾(ひ)」や「腎(じん)」機能の低下、「肺(はい)」機能の低下など。
これらに問題があると体内に水液が停滞する「内湿(ないしつ)」というものが生じ、表にあふれ、むくみが生じます。漢方では、カラダの中の水分代謝を改善し、肺の水の障害を取り除きつつ、弱った機能の回復に努めることでむくみを治療します。
現代では、ダイエットに悩む方は5人に1人と言われています。ダイエットの基本は、食事による摂取カロリーを減らし、消費カロリーを多くすることです。しかし、その前に大切なのが身体の環境作りです。身体のバランスが乱れると代謝が悪くなり、必要以上に水分や脂肪を溜めこんでしまいます。
漢方で対処する際には、代謝を良くしてあげると同時に、体の中の水の滞りを改善します。また、脂肪分解作用が認められている漢方薬を用いることでダイエット効果を見込めます。
花粉症の有病率は、食生活の変化や、現代のストレス社会といった社会的要因で増えていると考えられています。漢方では、花粉症の鼻づまり・鼻水といった症状を水分バランスの異常「水毒(すいどく)」と捉えます。
水毒とは必要なところに水分が少なく、特定の部分にたくさん溜まっている状態です。また、花粉症は、アレルギーであり、免疫が過剰反応を示している症状です。そのアレルギー体質を改善することも治療目標としています。つまり、水毒を改善する漢方薬と体質を改善する漢方薬を用います。
睡眠は、私たちの身体の疲れや、ストレスによる疲れの回復に非常に有効な手段です。しかし、睡眠のリズムが障害されると、眠れなかったり、眠りが浅くすぐに起きてしまったり、朝早く目覚めてしまいます。このような状態が続くと、疲れやストレスの蓄積により様々な体の不調が現れます。
漢方薬の不眠へのアプローチは、睡眠薬と違い、直接的に睡眠を誘発する働きはしません。そのため、不眠が起こる原因を解消することで、眠れるようにしていき、より自然なかたちで睡眠を導きます。
神経質な方や、精神的に不安定な症状の方は「気(き)」や「肝(かん)」の働きの乱れがあると捉えます。さらに、ストレスを受けると「血(けつ)」が不足していきます。このような状態では、不安感・イライラ・興奮など様々な精神症状や、何かしらの身体症状が生じると考えられます。
西洋薬では、一時的に症状を抑えますが、漢方では、背景にある根本的な原因を考え、気・血のバランスや、肝を整えることで身体の症状を治すとともに、精神症状も安定させていきます。
動悸とは、突然心臓の鼓動を自覚することです。循環器系の何らかの疾患、虚弱体質、ストレス、老化が関係されていると言われています。また、肺疾患や心疾患の症状にとして息切れを指標とすることが重要です。
一方、東洋医学では、動悸は体全体のエネルギーが不足している状態{「正気(しょうき)」の不足}が原因であると考えられています。また、この状態は血液の巡りにも悪影響を及ぼします。治療としては、体内の気を増やして全体に循環させることや、血の巡りを整える漢方薬を用います。
便秘は日本人の7~8人に1人が悩んでいると言われています。特に、20代女性と70歳以上の男女に便秘の有訴者率が多いことがわかっています。漢方では、便秘は「水(すい)」の不足、ストレスや緊張による「気(き)」の異常、「瘀血(おけつ)」や、腸に熱あるいは冷えを持つことによって起こると考えられています。
便秘を改善するには、第一に食生活や運動で身体のバランスを整えます。漢方の治療では、血の巡りをよくすることで腸道を潤わせることや、腸を温めたり、逆に冷やしたりすることで改善を目指します。
近年では、パソコンやスマートフォンを使用する機会が多くなり、目を酷使することが非常に多く、若い方でも何らかの症状で悩む方が目立ちます。
目の症状としては目の疲れ、かすみ、目が重い、しょぼしょぼする、ドライアイ、目の充血など様々です。こういった症状の際には、ビタミンAを多く含む食品やサプリメントなどで目の粘膜を強化することが有効です。
また、漢方の理論では目のトラブルは、「肝(かん)」と「腎(じん)」の不具合によるもので、肝と腎を補うことで目を健康に導きます。
女性に多い悩みとして、冷え性があげられます。症状は、身体全体が冷えている、手先や四肢が部分的に冷えている場合など様々です。また、体温のバランスが崩れ上肢に熱をもち、足先が冷えるなどの症状も冷え性として捉えます。
西洋医学では自律神経の乱れやストレスが原因とされていますが、東洋医学では、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」の乱れも原因の一部と考えます。例えば、血が不足している状態あるいは流れが滞っている状態の漢方治療は、血を補う漢方薬や血の滞りを改善する漢方薬を用います。
女性が老年期に入り、ホルモンバランスが乱れると様々な体調の不良、いわゆる不定愁訴が現れやすくなります。これが更年期障害です。代表的な症状として、ホットフラッシュ、発汗、冷え、イライラ、不安、食欲不振、頭痛、肩こり、腰痛などが現れます。
他にも様々な体調の変化が見られますが、現れる症状には個人差が見られます。こういった更年期の不定愁訴は、漢方医学が得意とするところで、「気(き)・血(けつ)」の乱れと捉えます。そのため、漢方の治療は気・血を整える漢方薬を用いることが多いです。
不定愁訴の総称として自律神経失調症と呼ばれています。特徴は、多岐に渡る症状があるにも関わらず、検査をしても何も異常が認められない点です。自律神経は、交感神経と副交感神経で構成され、この二つがバランスを取ることで人間の身体が正常に機能しています。
漢方医学では、「気(き)・血(けつ)・水(すい)」のバランスが乱れ五臓の機能が失調している状態と捉えます。治療では、気・血・水のバランスを整えることや、五臓を補うことを中心に漢方薬を選薬し、症状を改善させることを目標とします。
室温や気温が高くないのにも関わらず、顔を中心に上肢に熱感を持つ症状をのぼせと言います。特に、更年期障害時の症状として多くみられる症状ですが、甲状腺機能亢進症、高血圧、自律神経失調症でも症状を覚えることがあります。漢方医学の視点からのぼせを考えると、主に「瘀血(おけつ)」がある状態と考えます。
その際には、血の巡りをよくする漢方薬を用いることで治療を行います。しかし、のぼせの背景は個々によって異なるので体質や、症状をしっかりと見極め治療を行うことが重要です。
今では、不妊に悩む夫婦は6組に1組と言われています。不妊増加の背景としてライフスタイルや食生活の変化、社会的ストレスの増加、晩婚化などがあげられます。不妊は、はっきりとした原因を特定できないことが多いです。そのため、治療を行う際には西洋医学と漢方医学を両方取り入れ治療することを積極的におすすめしています。
漢方の治療では、個々の体質や状態を分析することで、改善点を発見し、それに対応する漢方薬を選びます。また、妊娠しやすい体質に改善することを目指すため、長期で処方するケースが比較的多いです。